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徳島地方裁判所 昭和31年(ヲ)20号 決定

申立人 清水木材株式会社

相手方 有限会社大門商店

主文

徳島地方裁判所執行吏井上謙介が同庁昭和三十一年(ヨ)第三五号債権者相手方、債務者訴外田宮木材協同組合間の動産仮差押事件の仮差押命令に基き同年三月十三日高知県長岡郡大豊村黒石の本山営林署太田口貯木場に於て樅栂松の素材(丸太)五百四十七本に対して為した執行処分はこれを取消す。

理由

申立人の異議の理由は相手方は右執行吏に委任して前記債務名義に基き昭和三十一年三月十三日前示場所に於て前記木材を訴外田宮木材協同組合の所有木材として仮差押の執行を為したが右執行吏の職務執行区域は所属徳島地方裁判所の管轄区域である徳島県内でなければならないのに右仮差押はこれが区域外の高知県に於て為したもので執行吏の執行に関し遵守すべき法規に違反して為した失当なものである。しかして債権者は該物件を昭和三十一年三月八日前記協同組合から買受所有し居るもので右執行に利害関係を有するを以て民事訴訟法第五百四十四条により異議申立を為し右執行処分の取消を求むると言うにあり。

よつて按ずるに申立人の申立事実は同人提出の疏第一乃至四号証の記載により認め得べく、右認定事実によると右執行吏の執行処分は、下級裁判所の設立及管轄区域に関する法律第二条、執行吏執行等手続規則第三条による執行吏の職務執行の区域外で為された違法なものであるからこれが執行処分の取消を命ずべきものとし、主文の通り決定する。

(裁判官 小川豪)

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